歯科用アマルガムというのは厳密には合金で、
- 銀
- 錫
- 銅
- インジウム
- 水銀
- 亜鉛
- パラジウム
- 白銀
からなっています。
ここで、水銀が入っているということにピンと来た人も多いのではないでしょうか。「水俣病」を引き起こした水銀中毒の例にあるように、水銀は人体に有害な重金属です。
この記事では、アマルガムの中に含まれる水銀が本当に有害なのか、もしもこの歯科用アマルガムを使用した歯の詰め物が口の中にある人は、それを除去した方がいいのか、その必要はないのか、検証していきたいと思います。
これから歯の治療を行おうと思っている人は参考にしてみて下さい!
【歯科用アマルガム合金に含まれる水銀のリスク】毒性は低いといわれているが、腐食したり気化すると高リスク
アマルガムのリスクについて
アマルガムという物質の成分には40〜50%の水銀が含まれています。しかし、さきほど説明したように、歯科用アマルガム合金はアマルガムだけでできているわけではありません。
このアマルガム合金は世界中で長年使われてきました。その安全性に関しても、「アマルガム合金に含まれる水銀は金属の状態なので、安定性がある」というのが定説でした。
というのも、水銀は常温で気化する性質があり、水銀蒸気の状態になると毒性が強くなる性質を持っています。この水銀蒸気はたとえ濃度が低くても、慢性的に体内に取り込むとなんらかの中毒が起きる可能性があるそうです。
しかし、このアマルガム合金の中の水銀は金属状態なので安定しているから心配無用、ということだったわけですね。
安定性・強度に優れ、安価だったこともあり、1970年頃まではこのアマルガム合金は歯科治療で盛んに使用されてきました。
しかし、近年の研究では、実は水銀が少しづつ腐食することで、体内へと流れ込んでいる、なんらかの刺激で水銀が気化し、人体に悪影響を与えている、という結果が発表され始めました。
日本でも、2001年の時点で歯科用水銀アマルガムに関する質問書が国会に提出されていて、アマルガムを歯科治療で用いるリスク、対策、代替案、アマルガム除去の必要性について、議論されています。
現在では、このアマルガム合金を歯科治療に用いることはほぼないといっていい状態です。セラミックや歯科用プラスチック、歯科用セメントなどの代替案も登場しています。
【歯科用アマルガム合金は除去すべき?】除去作業自体がリスキーになることも。除去は慎重に行う必要がある
こういったアマルガム合金の有害性が指摘されるようになって、1970年代以前に歯科治療を受けた人の間で、アマルガムを除去したいと考える人も出てきました。
ただ、水銀の気化する水質を考えると、その除去作業自体にリスクが生じることもわかったのです。
なぜなら、除去作業中の刺激で水銀が気化してしまって、それを患者が吸い込んだり、その削りかすなど体内に入ってしまう危険性もあります。
となると、除去して他の素材に置き換えるより、そのままにしておいた方が安全な場合も少なくないそうです。これは、もしも患者が実際に中毒症状を起こしているのか、その重度などによっても話が違ってくるでしょう。
もしも何も中毒症状がないならば、わざわざリスクを冒してまで除去する必要はないかもしれませんね。除去作業自体は自費負担になるので、安く済む治療ではありません。
次回は、近年人気が高まっている歯科用セラミックについて、同じように検証していきたいと思います。